——ヤクルトでの実戦から生まれた、もうひとつの戦い方
【1. 時代への問題意識:数値とスペックに偏重するリスク】
2018年当時、私は大きな危機感を抱いていました。
世の中のマーケティングや経営戦略の多くは、目に見える数値、表面的なスペック、すでに言葉になっている強み——すなわち「顕在価値」の競い合いに終始していたからです。
しかし、顕在化された価値は、どれほど優れていても瞬時に模倣され、資本力のある競合に塗り替えられます。そして待っているのは、価格競争という名のコモディティ化の沼です。人口減少と市場の成熟が進む21世紀の日本において、この「見えている価値の奪い合い」を続けていては、どんな組織も、そこで働く個人も疲弊していくばかりです。
【2. 理論誕生の原点:ヤクルトでの実体験と「見えない価値」の戦略化】
私のこの問題意識の原点は、長年身を置いたヤクルト本社での事業戦略・商品開発の実戦にあります。
ヤクルトという組織、そしてその商品やサービスが持つ真の強さは、単なる「乳酸菌の成分スペック」という顕在価値だけではありませんでした。その水面下には、創業者・代田稔の思想、地域に深く根を張るヤクルトレディの絆、そして目に見えない組織の蓄積資産が、巨大な氷山のように存在していました。顧客が「これはこの企業としかできない経験だ」と認識する唯一性の源泉 は、すべてこの水面下に眠っていたのです。
企業や個人が「当たり前すぎて価値だと気づいていないもの」や「まだ言葉になっていない資産」を掘り起こし、独自の意味づけを与えて強固な戦略へと転換する。この曖昧な「潜在的(Potential)」という言葉に明確な一線を画し、体系的なメソッドとして確立するために、私は「潜在価値開発(理論)」を創り出しました。
【3. なぜ今、生成AIなのか:効率化の道具から、最高峰の対話相手へ】
そして今、時代は生成AIという強力なテクノロジーを手に入れました。
しかし、現在のAI活用の多くは「作業の効率化」や「綺麗な要約づくり」という、やはり顕在化された作業の処理に留まっています。私は、生成AIの真の価値はそこにはないと考えます。AIの本質とは、人間のバイアス(先入観)を完全に排し、人間の無意識の領域を激しく揺り動かす「最高の対話相手(相棒)」になれる点にあります。
人間が一人で自らの「当たり前(潜在価値)」に気づくことは不可能です。だからこそ、私が紡いできた「潜在価値理論」のフレームワークを生成AIと融合させました。AIが人間の脳を強制駆動させる「問い」を投げかけ、人間がそれに答えるプロセスを通じて、組織の中に独自の「戦略思考OS」をインストールしていく。
これこそが、私たちが今、世の中に普及させている「生成AI・潜在価値開発プログラム」の必然性であり、目指す未来です。