週刊 企業と広告 誌上マーケティング講座

社内仮説の抽出

2015.10.26
「空飛ぶペンギン」のマーケティング講座
第21回

 前回は「脱出の7ステップ」の第1ステップ「新しい視点の設定―社員研修」についてお話しました。いかがでしたでしょうか。今回は第2ステップ「社内仮説の抽出」です。これ
も私がステップの中で非常に重要と思っていることのひとつです。
 
第2ステップ 社内仮説の抽出 ― 社員インタビュー
 
 私の場合、企業をコンサルティングする際には、必ずそのプロジェクトに関わるスタッフのインタビューを行います。その時に条件として、仮説を持っていそうな人という条件を出します。なぜなら、目的が社内仮説の抽出だからです。そのプロジェクトについて、常に考え、自分なりの考えを持っている人以外に聞いても仕方がないからです。
 
 普段プロジェクトに関わりいろいろ話をしているのだから、お互いの考えは十分分かり合っているに違いないと思われるかもしれませんが、実際に社員インタビューをしてみるとそうでもないのです。それぞれの考えている仮説が埋もれてしまっていることが多いのです。
 
 ある電化製品を売っている会社の家電量販店での販売実績が日本一の販売員の方をインタビューしたときのことです。インタビューして聞いていくとその方独自の色々な方法を語ってくださったのですが、隣で聞いていたその販売員を管理している営業担当の方がこう言ったのです。
 
 「え~。そんな風に考えていたの。全然知らなかったよ。驚いた。」
 
 普段ずっと長く接し、いろいろ話をしているはずの方でもその販売員の成功の秘訣を全く理解していなかったのです。これは例外的なことではありません。私がお手伝いした企業にほとんど共通することなのです。
 
 インタビューは大体1人に2時間程度かかります。社内で2時間じっくり話を聞いてもらえる機会というのは意外にないものなのです。聞く内容もビジネスの本質的なことを聞かれるということはまずありません。具体的に聞く内容としては、前にもお示しした、「ビジネス成功の12条件」に沿ったものです。その企業のビジネスモデル・マーケティングの本質について聞いていくのです。
 
また、普段埋もれてしまっている仮説を引き出すために、
 
「もし何も制限がなかったらどうしますか?」
「もっと他にはないですか?」
「なぜそう思うのでしょうか?」
 
など、すぐに反射的に答えの出ない質問をします。インタビューされている方が「う~ん」としばらく黙ってしまったらむしろ成功です。その方が自分の無意識にアクセスしているからです。つまり無意識が意識化されつつある瞬間です。
 ここでインタビュアーはじっと待ちます。この瞬間、待つことができるかどうかが実はインタビュアーの力量です。力量に欠けるインタビュアーだと沈黙に耐えかねて思わず何か話かけてしまうのです。「無意識を意識化する」ということが目的だとよく分かっていればこそ待つことができるのです。
 
 普段の仕事の会話のなかでは、こんなこと言ってもしょうがないかな、と思って言うのをやめてしまっていることが想像以上に多いのです。そういうメンタルブロックを外し、埋もれた社内仮説を抽出するのです。
 
 社内の考え方をより明確に意識化することが必要です。社内の市場・顧客に対する物の見方、前提となっている考え方、など、時にこの前提となっている考え方が無意識化してしまっていて、これが罠に陥るもとになってことは非常に多いものなのです。