週刊 企業と広告 誌上マーケティング講座

マーケティングとはなにか

2015.02.24
「空飛ぶペンギン」のマーケティング講座
第13回

知り合いから贈っていただいたマーケティング・ジャーナルを読んでいましたら、巻頭言の中で「『マーケティングとはなにか?』という問いに答えるのは難しい」という文章がありました。今回のマーケティング講座はこれに答えてみようと思います。さて、さて、いかが相成りますやら。

 

私は学者さんのような厳密な定義をしようとは思いません。またマーケティングの範囲を越えて概念を拡張したりするつもりもありません。厳密にしようとしたり、概念を拡張したりすると結局焦点が絞れなくなり、よく訳が分からない定義になってしまいがちです。ですから、定義が行動につながる様な、極めてシンプルで実務的なものにしようと思います。

 

そのためには、以前『ビジネス成功の12条件』でお話したように、ビジネスは3つに分けられるということから入りましょう。

 

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学者さんは、ビジネスモデルの領域までマーケティングの概念を拡張しようとする傾向がありますね。(縄張りを拡張したいから?)しかし、ビジネスモデルとマーケティングは分けて考えたほうが、焦点が絞れて実務的です。ビジネスモデルとは、「誰の」「どんな時の」「どんな問題」を解決するかを決め、その問題を「解決する手段を提供」し、どうやって「差別的優位性」をつくり、同時に「収益化」するか、という仕組みのことです。目指すところは、「唯一性・独自性」(=差別的優位性)をつくることです。

 

「マーケティングとは、顧客との関係づくり」

 

それでは、マーケティングとはなにかということですが、最もシンプルにいえば「顧客との関係づくりをすること」です。そしてその最終目的は、「優良顧客をつくる」ことです。その手段としては、顧客との情報交換をする「コミュニケーション行動」ということです。それが一回性のものではなく、継続的に行える「仕組み化」されている必要があります。そして関係づくりと言ってもそれがどういう関係かと言えば、「深い信頼関係づくり」です。

 

まとめますと、「マーケティングとは、優良顧客づくりを目的として、顧客との深い信頼関係をつくるためのコミュニケーション活動の仕組みである」ということになります。

 

いかがでしょうか。ゴールとやるべきことが明確になる、極めてわかりやすい定義ではないでしょうか。

 

「優良顧客とはなにか」

 

さらにもう少し掘り下げましょう。最終目的、ゴールである優良顧客とはなんでしょうか。
顧客には、細かく分ければ9段階があります。

 

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この中で、優良顧客とはどの顧客でしょうか。それは、「継続購入顧客」「口コミ・顧客紹介顧客」だけが優良顧客です。このようにステップを踏んで優良顧客を創るのが、マーケティングです。そして、顧客との関係が深まる各ステップの実施内容が明確で、数値化され、一気通貫のステップとなり、仕組み化したのが、マーケティングです。

 

「コミュニケーションとはなにか」

 

マーケティングの手段としては、コミュニケーション行動と言いましたが、コミュニケーションとは何でしょうか。皆様こう問われてすぐ答えが出るでしょうか。良く使う言葉ですが、意外に深く考えていないのでないでしょうか。
まず、コミュニケーションの目的はなんでしょうか。それは、「変化」を起こすことです。
コミュニケーションした相手の「意識」の変化を起こし、「行動」の変化を起こすことです。例えば顧客のステップで言えば、コミュニケーション行動によって、反応顧客から試用購入顧客に行動が変化することです。変化が起こらなければ、コミュニケーション行動は失敗ということになります。
それでは、コミュニケーションの要素は何か。「自分を知り」「相手を知り」、「インタラクティブに情報交換する」ことです。自分だけが伝えるという一方的な情報発信というのはうまくいきません。例えその時、一方的に情報を伝えているようにみえても、事前に相手のことをよく知り、相手の文脈の中で情報発信するというのでなくては、コミュニケーション行動は成立しません。「自分を知る」「相手を知る」「インタラクティブに情報交換する」。いずれも簡単なことではありません。しかし、このように明確に定義していれば、大事なことが抜けたり、方向がちがったり、ということはありません。

 

私のマーケティングの定義を述べましたが、マーケティングの定義をするということは、マーケターとして、重要かつ有意義なことと思います。皆様も、ご自身のマーケティングの定義を考えてみてはいかがでしょうか。