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誌上マーケティング講座

週刊「企業と広告」

  • 「空飛ぶペンギン」のマーケティング講座 第12回
  • 2015年01月26日

風呂に手を突っ込んでかき回せ


 年が明けてもう大分経ちましたが、昨年を振り返ると実際のコンサルティング活動を通じて、いくつかの新たな発見がありました。今回はそのお話をしたいと思います。


【自分のことほどわからない】
 


 その前に若干復習の意味で、何度かお話ししている「どんな企業も陥りがちな罠」についてお話しすると、「ビジネス成功の12条件」(多分皆様お忘れだと思いますが、それを再録すると紙面を取るので省略させていただきます。バックナンバーをご参照ください)のうちで、「差別的優位性をうまく表現する」ということが最も難しい、と言うよりいろいろな死角があり、罠に落ちやすいということを述べました。

 その根本要因は、自分のことを客観的に見るのが難しいように、企業も個人の集合であるので、自社のことを客観的に見るのは難しく、自社の差別的優位性を見誤る、見落とすものであるということでしたね。
 これは人間の根本的な本性に関わる問題であり、どんな企業にも当てはまることです。実際ご支援したすべてのクライアントに当てはまっていました。

 前職のヤクルト本社にいた時にこのことに気づき、この「どんな企業も陥りがちな罠から脱出する方法」を開発しました。これが今のビモクリのコンサルティング活動の源泉となっています。

 そして、「どんな企業も陥りがちな罠から脱出する方法」を様々な業種のクライアント企業に展開していく中で、さらに別の陥りがちな罠が見えてきました。


【風呂に手を突っ込んで、かき回してみろ。】


 誰しもありがちなパターンとして、「市場を概観して、戦略を決めてしまう」ということがあります。
 これはマーケティング戦略の立案においてもそうですが、経営戦略の立案においても同様なことが言えますね。数字で市場伸長率・シェア・販売数量・顧客数を見て、方向性を決めることは、一般的にやられているので何の疑問ももっていないことが多いのですが、市場を数字で概観しているかぎり、多少セグメントしたところで、誰が見ても同じような判断となり、極端にいえば誰もが同じことをすることになります。
 すると皆同じ方向を向いての同質化競争になり、差別的優位性などつくることができません。

 しかし市場を概観ばかりしていないで、実際に「風呂(=市場)に手を突っ込んでかき回してみる(=消費者の意識の中を探っていく、つまり消費者意識調査をする)」とまったく違う様相がみえてくることが多いものです。

 守秘義務があるので、どの業界のどの企業とは申し上げられないのですが、その会社のあるブランドの販売シェアは5%程度で、トップ2は併せて90%もありました。普通に考えたら、これは勝ち目がないのであきらめるというのが、概観的な見方でしょう。

 ところが実際の「風呂に手を突っ込んでかき回してみる」と、トップ2のブランドロイヤリティは販売シェアほど強くはなかったのです。販売シェアとブランドロイヤリティにギャップがあったのです。
 ブランドロイヤリティと販売シェアとがリンクしていたならやはり勝ち目はないと判断したでしょう。トップ2のあまり高くないロイヤリティを見てこれなら勝てる可能性はあると判断しました。

 このように購買行動とマインドが一致していないことは往々にしてあるものです。そして、マーケティング戦略を根本から見直しました。

 また、別の業界ですが、「早い」「安い」「簡単」という競争原理で皆が争っていました。 概観すればそれが業界常識で、私のクライアント企業もそういう認識をしていました。そういう常識に捉われない私ですら、そうなのかなと思っていましたが、「風呂に手を突っ込んでかき回してみる」と、まったく違った様相が見えてきました。

 それはユーザー調査でわかったことですが、その企業の顧客は「早い」「安い」「簡単」などをその企業に求めておらず、「安全」「安心」「信頼」を求めていたのです。

 その理由としては、その企業が圧倒的な信頼感を持たれていたことによるものでした。したがって、マーケティング戦略を真逆というぐらい転換しました。
 このように、市場を概観してばかりいないで、「風呂に手を突っ込んでかき回してみる」。 そうすると、違う様相がみえてくるかもしれませんよ。一緒に風呂をかき回してみませんか。
 
 そういうことに興味を持たれた方は、セミナーへご参加くださいね。