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誌上マーケティング講座

週刊「企業と広告」

  • 「空飛ぶペンギン」のマーケティング講座 第22回
  • 2015年12月01日

見ようとすれば見える?


 皆様、年も押し迫ってきました。この講座も年内は今回で最後になります。

 さて、前々回から「どんな企業も陥りがちな罠から脱出する方法」についてお話しています。皆様おそらく定期購読されている方ばかりなので心配はないと思いますが、一話完結型ではないのでこの回から読まれた方は流れがわからないかなという心配もあります。そこで少し前回の復習を。

 前回は第2ステップの社内仮説の抽出・社員インタビューについてのお話でした。これは顧客企業が

「市場や顧客をどう見ているか」
「社内に潜在化してしまっている差別的優位性はないか」
「埋もれている社内仮説はないか」

を把握するということが目的でした。

 そこでプロジェクトメンバーに1対1で2時間のロングインタビューをすることによって、普段は言わないことや意識の底に埋もれてしまったものを探索・抽出していくという内容でした。
 そして今回からは第3ステップ「顧客からの差別的優位性の抽出-へビーユーザーリサーチ」 についてお話します。このお話は今回だけでは終わらないと思います。  


【第3ステップ ヘビーユーザーリサーチ 】


 「ビモクリさんがやるリサーチはなぜいろいろなものが見えてくるのですか。いままでにも同じテーマで調査したことはあるのですが、全然結果が違っていました。」
 とよく顧客企業の方から言われます。なんのことはありません。

「見ようとするから見える」

のです。
 逆にいうと見ようとしなければ見えません。ビモクリの場合は見ようとするものが明確で、それに沿ってリサーチし、顧客の声を聞くので、「見ようとするものが見えてくる」のです。

 この第3ステップの主目的は、 「情報開発のための仮説づくり」 です。これは第2ステップの社員インタビューと同様です。
 
 この主目的実現のために見たいものは次の3つです。


 1|死角(罠)に陥っていないか
 顧客の意識と企業の考え方のギャップの把握  

 2|埋もれた差別的優位性はないか
 顧客の無意識の意識化  

 3|気づいていない問題はないか
 業界・顧客企業が気づいていない問題の発見


 「顧客の意識と企業の考え方のギャップ」はビモクリがお手伝いした顧客企業でも例外なくあり、顧客企業が衝撃を受けるということがほとんどです。

 つい最近の例では、B2Bの機械メーカーのユーザーリサーチをしたときのことです。

 そのメーカーは、「〇〇ならそのメーカーのA」というくらいのブランド力のある商品をもっているのですが、ユーザーインタビューをしてみるとそのメーカーの総合パンフレットがまったく見られていないということがわかったのです。
 その機械メーカーはその商品以外にも広い商品ラインを持ち、総合的なソリューションが提供できる企業なのです。しかし、「〇〇ならA」というイメージが強すぎ、総合商品パンフレットをA商品のパンフレットとユーザーが勘違いして、わかっているからいいやと総合商品パンフレットをまったく見ていなかったのです。

 これはそのメーカーにとって本当に衝撃でした。総合的なソリューションを提供できる企業であるということを伝えようとしてつくったものが全く見られていなかったわけですから。

 このような衝撃的なギャップは本当に多いのです。ですからビモクリはそのようなギャップはどんな企業にも必ずあるだろうという前提でリサーチをしています。だから見えるのです。   

 「埋もれた差別的優位性はないか」ということについては、この講座で何度も事例とともにお話してきたので、今回は詳しくは述べませんが、ヘビーユーザーリサーチをやる上でいつも最大の焦点です。顧客は実際には無意識的な選択をしていますので、自分の本当の選択理由を論理的に語ることはなかなかできないものです。

 従って、無意識を意識化するリサーチノウハウが必要になります。それがなければ、埋もれた差別的優位性は引き出せないのです。

 そして、「気づいていない問題の発見」。

 業界も顧客企業も気づいていない潜在的な問題が眠っていることもよくあることです。この事例は顧客企業の新しいビジネス・マーケティング戦略の核となるものなので、まさに秘中の秘ということが多く、残念ながらその内容をお話することはできませんが。

 これはリサーチの中で顧客の言葉として出てこないこともあります。これも必ず誰も気づいていない問題があるはずという視点で顧客の言葉の裏を読むという高度なリサーチ能力、言い換えれば洞察力が必要になります。しかしまずはこういう視点をもつことです。

 通常のリサーチは、顧客はどう考えているかという意識構造の把握というレベルに留まっています。それに対して、ビモクリのリサーチは、上記のような別次元の戦略的意図を持って顧客の声を聞いていくところが顧客企業も驚くような結果を生み出す理由なのです。

 そろそろ、紙面も尽きたようですので、今回はこの辺で。次回をお楽しみに。
 ちょっと早いですが、今年もご購読ありがとうございました。来年も「空飛ぶペンギンのマーケティング講座をよろしくお願いします。