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誌上マーケティング講座

週刊「企業と広告」

  • 「空飛ぶペンギン」のマーケティング講座 第25回
  • 2016年02月29日

拡張のメソッド


 読者の皆様、ここ2回は私のビジネス理論の成り立ちをお話してきました。今回からは、話を元に戻しましょう。

 情報開発の方法です。ただ情報開発とは何かを復習しておきましょう。情報開発とは、潜在化して埋もれてしまっている自社の差別的優位性を抽出するものです。

 やり方は「社員インタビュー」「へビーユーザーリサーチ」を独自の視点を持って行い仮説を抽出し、「ノンユーザーリサーチ」「市場テスト」でその仮説を検証していくというものでしたね。

 3回前には、ヘビーユーザーリサーチをする上では視点が重要と言うお話をしました。そういう視点があるかないかで、リサーチの成果はまったく違ったものになるのです。


【拡張のメソッド】


 今回はヘビーユーザーリサーチの具体的フレームについて、お話していきます。このとき活用するのが、私が「拡張のメソッド」と呼んでいるものです。それは、視野狭窄になりがちな視点を拡張する重要なメソッドです。  

 普通は差別的優位性を商品の機能だけに考えがちです。しかし差別的優位性とは商品の機能性だけではないのです。


 


 拡張のメソッドは、顧客の購入意思決定のプロセスに沿ったものです。このステップは一瞬にして無意識に行われていますが、これを分解していくことが差別的優位性の仮説を考える上で重要です。

 ユーザーは、まず何らかの問題を認識します。問題といっても大げさな話ではなく、たとえば「ちょっと退屈を紛らわしたい」というのも問題です。
 その上で、その問題解決するカテゴリーの選択をします。たとえば、本を読む、スマホをいじる、ゲームをする、などです。 その次が、コーポレートの選択です。

 これを飛ばしてブランドの選択をする場合もありますが、それも無意識で信頼できる企業を選ぶということしている場合も多いのです。
 
 そしてブランドの選択です。その上で、購入場所の選択です。これも近年インターネットの普及によって店頭で触ってみてから、ネットで購入するなど複雑化しています。

 最後に使ってみての再購入の判断です。これは普通商品のリピート購入ですが、リピート購入型の商品でない場合は、そのコーポレートの他の商品を再購入するかという判断ということになります。

 つまり、企業側から働きかけるポイントは6つあるのです。しかし、ブランドのレベルしか意識しないコミュニケーションが多いのです。もちろん、これは最重要ではありますが、他にもユーザーに働きかけるポイントがあるのです。その可能性を探らない手はないのです。

 最近、クライアントのスーパーセールスレディのインタビューをしていましたが、そのレディたちのコミュニケーションのポイントは、ブランドレベルではありませんでした。
 むしろ、問題の認識・カテゴリーの選択・コーポレートの選択に働きかけていました。問題を喚起し、カテゴリーの重要度を訴求し、コーポレートの差別的優位性の訴求をしていました。 そうすれば、商品など自然に売れると言っていました。

 このように、情報開発において、訴求ポイントを拡張し、コミュニケーションの可能性を広げることが重要です。ヘビーユーザーリサーチにおいては、消費者意思決定の6ステップに従って、顧客の意識の状況を把握するとともに、それぞれのレベルにおける自社の差別的優位性を探るということが重要なポイントとなります。