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誌上マーケティング講座

週刊「企業と広告」

  • 「空飛ぶペンギン」のマーケティング講座 第16回
  • 2015年05月22日

代理店に丸投げする

 
 「どんな企業も陥りがちな罠」についてお話しています。
 今回は「代理店に丸投げする」です。読者の方に、広告代理店の方も多いと思います。「丸投げ」が陥りがちな罠なんかじゃない、とお思いの方もいるでしょう。
 また、広告代理店の方にとっては「丸投げ」してくれたほうがありがたいということもあるでしょう。広告主側にとっても「丸投げ」して上手くいっていればそれでいいじゃないかという方もいるかもしれません。


【丸投げではうまくいかない】


 しかし丸投げではうまくいきません。一昔前の消費者へのコミュニケーションルートが一方通行の4マス(TV・新聞・ラジオ・雑誌)だけで、販売チャネルがスーパー・CVS中心というシンプルな時代で、消費者のニーズも比較的均一な時代なら、インパクトあるクリエイティブを創りさえすれば、うまくいきました。そんな時代なら丸投げでもうまくいったかもしれません。

 今の時代は、インターネット・SNSの発達とともにコミュニケ―ションルートが多様化・双方向化し、販売チャネルもEC等の拡大によって多様化しています。さらに、消費者の消費経験の深まりや消費に対する価値観の変化などによって、消費者ニーズも多様化しています。こんな時代に能天気に「丸投げ」しているようでは、ビジネスがうまくいくわけがないということは容易に想像できると思います。


【広告主と広告代理店の役割分担が曖昧】


 また環境の変化とは別に、広告主と広告代理店の関係性からくる根本的な課題もあります。
 「差別的優位性をうまく表現する」、つまり表現開発が難しい(失敗しやすい)理由として、これより前段階の「ビジネスモデルをつくる」ことや「商品を開発する」ことは、自前で自己完結的にできるのに対して、表現開発の段階から表現を具現化するために、広告代理店等外部の協力が必要になってくるからです。

 この協力体制のつくり方がなかなかうまくいかないのです。つまり内部から外部への繫ぎの部分がうまくいっていないことがほとんどですね。

 なぜうまくいかないかというと広告主と広告代理店の役割分担がアンバランスになることが多いためです。代理店に任せ過ぎたり(丸投げ)、任せ過ぎなかったり(代理店に任せ過ぎなかったりというケースはまったくないですけどね)。 どこまでを広告主側がやって、どこからを広告代理店に任せるかということが社内で明確になっていないことが多いのです。


【情報開発とクリエイティブ開発】


 表現開発は情報開発とクリエイティブ開発に分けるべきです。どういう内容を言うのが効果的かを明らかにするのが情報開発であり、その情報をコピー化・ビジュアル化するのがクリエイティブ開発です。

 本来、情報開発は広告主側の役割であり、クリエイティブ開発は広告代理店の仕事です。 自社の差別的優位性が明確に分かっていて、その情報の顧客における重要度の評価をして明確にわかっている状態が情報開発ができている状態です。
 しかしこれをやっていないし、出来ていないのがほとんどの企業です。広告主側が何をやるべきかがわかっていないということだと思います。

 ですから、いわゆるオリエンテーションシートが本当のオリエンテーションシートとは言えず、単なる商品仕様書レベルのことが多いのです。広告主側の怠慢と言っていいかもしれません。
 広告代理店のほうは、不十分な情報に対して不十分だと言わず、類推で案をつくってしまう。また不十分な情報を広告主にヒアリングしても、以前にお話した陥りがちな罠「自分のことはわからない」に陥っていますから、役に立つ情報は提供されないということが多いですね。

 このように、広告主側と広告代理店側の双方が曖昧な関係で仕事をしているのではないでしょうか。皆様、こんなふうになっていないかと一度振り返ってみてはいかがでしょうか。